ITは経営戦略とリンクできて初めて効果を発揮する

以下は、私が開発局面より引き継いだERP導入プロジェクトの本番稼動まじかに、ユーザの経営企画部長に呼ばれて、重大な質問をいただいた時の話です。
部長「大砂古さん、SAP R/3が稼動すると、わが社には、どのようなメリットを享受できるのか教えてほしい。」
私「はっ?このプロジェクトを始める前に、十分検討されたのではないでしょうか?」


部長「今度、役員会に報告しなければならないので、一般的なことで良いから教えてほしい。」
私「と申されましても、ERP導入決定時に考えられた戦略があるはずですが。ERPを導入したからといって人間系のプロセスに変更がなければ、なんらメリットは出てきませんが。」
部長「そんなことを言わずに。当時の戦略なんてありゃしない。」
私「いまさらそんなことを言われても。」
このプロジェクトは、導入の目的、戦略を明確にしないままに進められ、結果として、追加開発に次ぐ追加開発で数十億の費用がかかってしまいました。さて、皆さん、何が問題なのでしょうか。
言い古された表現ですが、ITは魔法の箱ではありません。ただの箱にすぎません。明確な目的を持って使用しなければ、逆にパンドラの箱になってしまいます。まだまだITを魔法の箱だと思っている経営層の方が多いようです。
要は、第1に、ITを導入する目的をはっきりさせることが必要です。企業の方向性と合致していて、初めてITの効果が体現できるものです。すなわち、経営戦略を実現するための手段がITであり、経営戦略とリンクされていることで、その導入効果を評価できるのです。
第2に、全社をあげて、戦略、情報の共有を行い、同一方向へ導くことが必要です。
このような状況は特別なものではありません。方向性がはっきりしてないIT導入は、えてして導入自体が目的となり、失敗してしまうものです。そのような導入プロジェクトを数多く、見てきました。
最初のボタンの掛け違いが、その後のプロセスをとんでもない方向に導いてしまい、IT導入効果を左右すると言っても過言ではありません。
この方向性を定める、経営戦略とリンクさせることを、ITコーディネータプロセスでは「経営戦略策定フェーズ」と呼んでいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*