キャッシュフロー分析で、投資の費用対効果を計ろう

戦略策定が終わり、どのような道順で実現して行くかも決まりました。今回は、その概算予算作成と、収益性の分析です。
なぜ、収益性分析をここで行うのでしょうか?
1つには、これを元に、施策の優先順位を決定し、また、今後の投資見通しを立てるのに利用します。


2つ目は、今後行うプロジェクトで、もし、遅延した場合の、ビジネス上の影響度を測ることに使用します。ITプロジェクトの場合は、この視点がすっぽりと抜け落ちているのではないでしょうか。少なくとも、私が関与したプロジェクトでは、予算、スケジュール、品質に関する議論はあっても、遅延した場合のビジネスに対する影響度を議論した記憶がありません。
この段階で、概算予算を立てるわけですが、ピンポイントできるような予算をたてることは、まず、不可能です。予算の精度としては、かなり粗いものになります。精度の枠は、以下のようなものでしょうか。
概算見積(Order of Magnitude Estimate) -25% ~ +75%
予算見積(Budget Estimate) -10% ~ +25%
確定見積(Definitive Estimate) -5% ~ +10%
皆さんの会社でも、最初は、概算予算を作り、ITプロジェクト実行前の計画で、実行予算を作り、さらに、その仕様が確定した段階で、確定予算を作る、とういようなプロセスを踏んでいると思います。これをPMBOK流に言うと、「段階的詳細化」と言います。
概算見積であっても、その費用対効果の測定は、行わなければなりません。目標設定で、数値化したKPIを決めたわけですから、それを金額に換算して、その効果を計ります。
投資の費用対効果をはかる方法に最適なものが、キャッシュフロー分析です。もし、ここで、資金繰り表を作成すると考えた方がいたら、考え方を改めてください。確かに資金繰り表は大事なものですが、1投資案件についての評価を行う上では効果的ではありません。
キャッシュフロー分析は、DCF(Discounted Cash Flow)分析とも言われます。その手法は、将来の収益の流れを予測し、現在価値におきなおし、投資と比較する方法です。
DCF 法には、2種類あり、正味現在価値法と、内部収益率法があります。正味現在価値法は、ある割引率で、将来のキャッシュの流れを割り引き、投資額を控除したものです。内部収益率法は、その割引率を求めるものです。正味現在価値が0以上の場合、内部収益率法の場合は、閾値より上であれば投資を行うと意思決定するものです。
予断ですが、私が最初に勤めたモービル石油では、この計算方法が新入社員教育の1カリキュラムとして構成されていました。サービスステーションへの投資の採算分析、その他投資案件の選定基準として使用していました。
ここで、気をつけなければならないのは、その金額は、現状との差額を集計することです。すなわち、現状の売上高が100億円で、目標が200億円であれば、その差額である 100億円を効果として見るわけです。収益、費用、すべてに関して、現状との差額で表現します。
また、扱う数値は、損益計算書上の利益額ではなく、利益額に、減価償却費効果、税効果、金利効果、運転資本投資を考慮して、最終キャッシュフローを計算します。詳細は、収益性分析等を扱った経営書をご覧ください。私のCIO養成講座 – 経営戦略の基礎知識にも、詳細を載せています。
このキャッシュフロー分析も、表計算ソフトを利用すれば、簡単に出来上がります。私がモービルで行っていたときは、表計算ソフトなんで存在していませんでしたから、電卓、ポケコン(知っている人は、私と同世代)で計算した結果を集計表に転記していき、分析していました。だから、縦横が合わない…と騒いで、検算するにも大変な思いをしたものでした。
ここで、約2ヶ月続けてきた、自分で作る戦略策定方法の解説を終わります。
PMBOK で言えば、やっと、立ち上げフェーズのプロジェクトチャーターの一部の基礎資料がそろったことになります。

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