ERP導入でグローバルに効率化を図るエクソンモービル

今後は、情報化企画の課題点を取り上げて行きたいと思いますが、その前に、今週は、私が関与した導入の事例で、IT導入を生かし、戦略遂行を見事に行っている例を紹介したいと思います。ただし、SAPと顧客の間、私とSAPの間にそれぞれ秘守義務契約がありますので、書ける範囲での紹介となります。
今週は、エクソンモービルの事例を紹介します。


エクソンモービルは、私の古巣であるモービル石油とエッソ石油が合併してできた会社ですが、元を正せば、1つの会社でした。それが米国独占禁止法で分割され別々の会社になり、また1つの会社に戻ったわけです。
私がSAPにて関与したのは、エッソ石油、ゼネラル石油のSAP導入時でした。残念ながら、モービル石油は、導入検討中に合併が決まり、中断されてしまいました。
エクソンモービルの導入の仕方、その後のビジネスへの展開の仕方は、その企業の風土、ガバナンス、成熟度等を考慮しても、目を見張るものがあります。各国の事情にとらわれることなく、あくまでもグローバルな観点からビジネスの全体最適を図ることを目的としています。
エクソンが海外子会社でSAP R/3 を導入したのは、1994年前後からでした。それまでは、R/2 という汎用機ベースのものを導入していました。日本でも導入が開始されたのでは、1994年末ごろからでした。その時のエクソンの導入方針は石油ダウンストリーム(原油精製後、最終消費者への販売過程)において、SAP R/3 がどの程度使用できるのかの評価でした。
オーストリアでSAP R/3 の全モジュールを導入し、日本では、会計と購買のみ導入してビジネスへの影響度を測るということでした。当時、R/3は、2.2というバージョンで、コンサルタントの目で見ても、ロジスティックスモジュールは使用に耐えがたい状況であり、オーストリアでの実験は、興味をそそられるものがありました。
その間、エクソンは、ドイツにコンペテンスセンター(R/3 導入戦略策定、導入実行、ユーザサポート、運用管理等を行う)を設立し、SAP との連携の下、社内コンサルタントの育成、ビジネス上の評価を行いました。
日本では、エッソ石油後に、ゼネラル石油でも導入が進みましたが、ビジネスプロセスを統一するところまでには至りませんでした。ただし、導入そのものは、グローバルで統一された勘定コード表を元に、R/3 の項目の使用方法、意味を統一して行われました。
ヨーロッパでは、ビジネスプロセスを統一して、順次各国で導入が進みました。ヨーロッパ版R/3 を元に、全世界統一ビジネスプロセスを完成させるべく、2000年より、日本でも再導入が決まりました。
導入後、現在では、アメリカ国内はもとより、全世界の子会社で、SAP R/3 が、その基幹システムとして利用されています。
全世界で統一されたビジネスプロセスを実現し、現在では、非常に大胆な事業再編がグローバルレベルで行われています。この事業再編は、各国での部分最適を図るのではなく、あくまでもグローバルな観点での全体最適を図ることを目的としています。例えば、情報システム関係の中枢は、米国にのみあり、ヨーロッパ、アジア等は、ユーザ支援機能のみ地域サポートとして存在するというような感じです。
よく、外資系だからできたのではないかを疑問を発する人もいますが、それは違います。同じ米国系企業でも各国で自由に導入させている企業もあります。また、ヨーロッパ系の企業は、その傾向が強いです。どちらが良いかと言うような価値判断は、その企業の目的とするものが何かによって異なるものです。
次回からは、情報化企画の課題点を、ERP 導入を材料としながら、解説して行きます。

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