BIは社内変革の原動力

今回は、やわらかく、私の体験談を、小説風にお届けします。
では、はじまり、はじまり…
男は、ぼーっと窓の外を眺めていた。
これまでの困難を克服したとの充実感でいっぱいであった。


あれは1年前。株式公開業務を成功させ、一息ついていたときであった。
その時、社長が交代した。新社長は、ハーバードビジネス出身であった。
突然、社長から男に呼び出しがかかった。
「このレポートは、どのようにして作成しているのか。」社長が聞いた。
男は答えた。ホストからデータをダウンロードする。
そのデータをロータスに取り込み、マクロを走らせると。
男の作成するレポートは、日本の事業全体を評価するものであった。
社長は、そのレポートを元に、本国へレポートしていた。
「そうか。」社長は言った。
「これからは、紙のレポートは出さなくてよい。エクセルファイルをくれ。」
男は、ショックを受けた。トップからファイルをくれとは。
他の役員のPCは、部屋の飾り物でしかないのに。
少なからず、期待を抱かせるものであった。
しかし、エクセルファイルか。
社長はアップルを使っているのか。
ファイルを変換しなければならない。
(PC用のエクセルはまだ発売されていない…年代がわかるなぁ)
男は社長室から戻り、早速ファイルを社長宛に送付した。
1ヵ月後、再び、男は社長から呼び出された。
「君に6ヶ月と予算4千万円を渡す。このレポートをデータベース化して、誰でも見れるようにしろ。私が、分析の切り口を自由に変えられること。目的は、この会社の部長以上が数値をもって報告できるように変えること。」
社長は、男に伝えた。
社長は就任以来、全体が見えないことに不満を募らせていた。
部長の報告だけでは。
即刻、男はパッケージを調査した。ベンダーも選定した。
1ヵ月で要件定義をした。
戦略を評価できる指標を選定した。
社長が分析したい項目を付け加えた。
当然、レポートの内容も含まれていた。
数値は、自動で計算し、定性的評価は、部長たちが直接入力する。
こういうシステムを実現することにした。
要件を全部長に説明した。抵抗がかなり出た。
一国一城の主だと、部長たちは思っていた。
自分たちが報告する内容が正しいと主張した。
それがガラズばりになるからであった。
自分たちが分析したい項目を付け加えろとの主張もあった。
「放っておけ。まずは、全体が把握できるようにすることが大事だ。部長たちの意見は、次のフェーズで吸収しろ。」
社長は、男に伝えた。
実現する環境は、ネットウェアがベース。
PCベースで構築し、運用することにした。
(時代がわかりますよね。)
開発に取り掛かった。男がプロマネ兼パワーユーザ。
ベンダーからリーダー1名、新人4名という陣容であった。
開発は順調に進んだ。
が、データソースの調査から、ホストにデータがない項目があることが判明した。チームは、項目の優先順位を再設定して枠だけは作っておくことにした。
また、経理規定どおりに処理が行われていないものが判明した。
売上は月末処理だが、返品は、15日締めで処理している。
経理が半期に1度修正しているとのことであった。
返品を月末締めに変更するのは、経理部長をはじめ、営業からも強い反対があった。顧客との調整があるので、先送りとした。
プロトタイプが出来上がり、実際のデータを使用してテストを行った。
取り込んだデータの分析処理、レポート作成処理に思わぬ時間がかかる。
終了するまで14時間だ。ハードのCPU見積が甘かったのが原因だった。
CPUを交換し、4時間まで短縮した。
操作トレーニングを部長以上を対象に行った。社長以外は、覚えが悪い。
前途多難だと、男は感じた。
秘書たちが部長に代わり入力するのではないかと。
カットオーバー後、バグの修正はあったものの概ね順調に推移した。
社長に対し2度ほど操作を教えただけであった。
部長たちからは何も言ってこない。
2ヵ月後、男は、部長会への出席を命じられた。
そこで思わぬ光景を見ることとなった。部長たちの青白い顔が見えていた。
社長が画面を操作し、詳細を部長に質問しているのだ。
見ていないとは言わせない迫力であった。
それからであった。部長たちが入力をし始めたのは。
次第に部長たちの意識も変化してきた。
報告に数値を多用するようになって来た。
今回のプロジェクトから多くのことを学んだ。
社内の雰囲気を変えるには、経営情報システムが強力な武器となること。
基幹システムが戦略をサポートしていないこと。
何が欠けているかを明確にできること。
何よりも、トップの支援がなければ、プロジェクトは成功しないこと。
男は、窓の外を眺めながら、次は、部長たちの要件か。
それと、基幹システムの更新だと思った。

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