海外展開では、ローカル要件にどう対応するかを考えろ

前回パッケージ導入では、どのレベルまで標準化するかを考えろで紹介したGMの海外展開方法ですが、現在では、かなり、修正が加えられ、EAを元に、共通システムの構築を目指しているようです。企業として目指しているのは、「動きの鈍い”巨大企業から、タイムリーな意思決定が行える“柔軟で機敏な”企業への転身」だそうです。
各国ばらばらに導入したSAP R/3をどの様に扱うのか、その結果を早く見たいものです。
さて、前回の続きで、導入対象範囲に関して考えていきます。
どのレベルまで標準化するかということを考えましたが、海外展開の場合は、いろいろな要素が追加されます。


特に大きな要因が、法的要因です。
導入対象とする各国の法的要因を詳細に検討する必要があります。この要因は、対象範囲外にすることができません。
例えば、企業会計を取って見ても、各国で基準が異なります。これにどのように対応するかを考えなければなりません。商法ベースを基準として採用し、各国の基準に組み替えるようにするとか、或いは、US GAAPを基準とするか。
勘定コードを全世界統一したエクソンモービルでも、各国で必要になる勘定コードをすべて組み入れています。
また、人事システムを統一するとしても、労働環境が異なり、また、給与計算方法も異なります。
次に大きい要因が、マーケットニーズです。
日本では、月次で請求書を発行することが一般的ですが、海外では、都度請求することが一般的です。また、ロジスティックスの面では、その国の事情に合わせた対応が必要となります。
これらの要因を詳細に検討して、グローバル業務要件と、ローカル業務要件に分類して、何処まで、対応するかを検討しなければなりません。そして、各国事情を吸い上げ、方針に取り込む体制が必要となります。
闇雲にすべてを本社で標準化したのでは、使われないシステムが出来上がってしまうのは、自明の理です。
ただし、詳細に検討して行く中で、その国の独自なローカル要件だと考えられていたものが、複数の国で似通っていると言うものも出てきます。これらを標準化するのか、しないのかをも検討することが必要となります。
ここで重要なことは、ローカル要件を対象範囲外とした場合、それを実現しなければ、業務が回らないことです。別途、代替案を考慮しておかなければなりません。
導入しようとするパッケージが機能として対応していれば良いですが、そうでなければ、レガシーシステムとの連携を考えるとか、別プロジェクトとして、開発を行うとか、という対応が必要になる場合もあります。
さらに、業務プロセスが、部門間、あるいは会社間を跨って処理される場合、その情報をどのように連携させるかを考えておかなければなりません。
ある外資系コネクターメーカの社長に呼びつけられたことがあります。社長と会うなり、「こんなバグの多いシステムを売りつけたな。」です。
「日本の生産形態は、BOT(Build to Order)なのに、システムは、MTS(Make to Stock)ではないか。R/3では対応できないのか?」と叱られました。
当然、R/3では、どちらの生産形態でも対応できます。
仔細を聞くと、導入自体は、米国本社が主体となり、実施されたものでした。導入計画時に、日本の要件を伝えたにもかかわらず、システムに反映されていなかったのです。
ちょうど、その場に、米国のプログラムマネジャーがいましたので、話をしても、なぜか、対応しないとのこと。対応すると、自分たちのアプローチが間違っていたことを証明してしまうからだと感じました。ほとほと困り果てました。
ローカル要件として、切り捨てる場合は、なぜ対応しないのか、また、どのようにビジネスを継続させるのかを考慮して、それを納得させることが必要です。

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