パッケージ導入では、どのレベルまで標準化するかを考えろ

情報化企画において、業務分析とシステム要件を見てきました。次に考えるポイントは、具体的なパッケージの導入戦略です。ERP、特にSAP R/3導入の体験を下に、ポイントを整理します。
この段階で考えなければならない導入戦略は、
1. 導入対象範囲
  1-1. スコープ
  1-2. 導入順序
  1-3. 標準化すべき業務プロセス
  1-4. 部門間、会社間の情報、プロセスフロー
  1-5. 組織構造のモデリング
2. システム構成
  2-1. システム構成
  2-2. ネットワーク
  2-3. 分散アプリケーション環境
今回は、これらの内、導入対象範囲を考えます。


1-1. スコープ
ERPで考えるなら、導入するモジュールの範囲、導入対象の組織、地域を考えなければなりません。また、プロジェクトのスコープ外の事項に関しても、明記しておく必要があります。
1-2. 導入順序
全社一斉に導入するのか、事業部別に順次導入して行くのか。或いは、モジュールを一度に導入するのか、順次導入するのか。海外展開する場合は、どの地域(国)から導入して行くのか。子会社展開をする場合も、同様です。
三菱化学は、まず導入しやすい海外子会社から導入をして行き、最後に日本国内にSAPを導入しました。日本での抵抗が大きいと感じていたのでしょうか。
1-3. 標準化すべき業務プロセス
パッケージで、どこまで標準化するのか。標準化のレベルは、5段階あります。
第1段階:組織構造の標準化
導入範囲内の組織コードだけを共通化する。その他のパッケージで必要になる項目は、組織単位で自由に設定してよいと考えるレベル。
第2段階:共通設定項目の標準化
海外展開の場合は、国コード、通貨コードといった、共通して使用する項目の標準化のレベル。国内の場合は、都道府県コード等。
これら第1、第2段階までの標準化で導入する企業は、ほとんどありません。
第3段階:各種コードとオブジェクトの標準化
勘定科目、仕入先、得意先、品目等のマスター類を標準化するレベル。例えば、得意先コードを指定すれば、一意に得意先が特定できるようにすることです。これのレベル標準化は、マスターの項目の使用方法、定義までも含めます。
このレベルの標準化をするに、非常に多くの困難を伴います。特に、組織別に得意先コードを自由に設定していた場合、それを統一するのは、至難の業です。
先に紹介したエクソンモービルでは、95年の導入段階で、このレベルの標準化を実現しました。
当時、エッソ石油では、当初勘定科目、コード類は自由に使ってよいと言うことでプロジェクトが開始されましたが、途中で、勘定科目を全世界統一する、その他の項目類も、その使用方法が決められ、大幅な手戻りが生じました。
まずどのレベルまで標準化するかを決定した後で、プロジェクトを開始する方が手戻りがないのは当然なことです。
第4段階:業務プロセス単位での標準化
ハイレベルな業務プロセスを標準化するレベル。例えば、受注処理では、受注、在庫確認、納期回答、出庫指示、出荷、売上計上とプロセスフローが流れるというレベルです。
第5段階:各業務単位での標準化
最も細かな単位まで標準化するレベル。例えば、ある業務では、どのような情報が必要で、どのような作業を行い、どのようなアウトプットをするという標準化のレベルです。
システム的には、例えば、SAPの場合、伝票タイプと言うもので、その業務で行うことを規定できるのですが、そのレベルまで標準化してしまうことになります。
この標準化のレベルをどこに設定して導入するかを考えないと、後になって、ボディーブローのように効いてくることになります。
サムソンは、海外子会社で自由に導入したのですが、サーバー数が膨大になり、現在、集約するための作業を行っています。日本企業でも、子会社展開、海外展開をした所は多数ありますが、これが、現在の共通の悩みではないでしょうか。
逆に、GMは、最初から、海外子会社に自由に導入させると言う方針を立て、本社は一切関与しないというやり方です。
これは、良い悪いの問題ではなく、企業の風土を考え、何処まで標準化するかを前もって方針を立てることが重要ではないでしょうか。

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