RFPでは成果物WBSを要求しよう

前回に引き続き、導入費用を考えます。今回は、顧客側から見た視点です。
プロジェクトの予算を計上する上で、ベンダーからの見積だけで計上するような企業はないでしょう。ベンダーへの外注費用意外に、設備、備品などの費用意外に、当然、自社のメンバーの人件費も計上しますよね。
この中で、費用が大きいのは、やはり、人件費です。もし、外注費が安ければ、安いほどよいと言うのであれば、外注せずに、自社ですべて構築すればいいんです。しかし、スキル、知識の課題があって、外注せざるを得ません。
プロジェクトで必要な作業をすべて外注した場合は、最も高くなるのは、当然の事です。したがって、プロジェクトで必要な作業を100とすると、どの程度、自社でカバーするかを考えなければなりません。当然自社でできる事と、できないことがありますから、作業の役割分担をする事が必要になります。
皆さんのプロジェクトでは、ベンダーと顧客の分担比率は、どの程度でしょうか。過去の統計のようなものがないので、私の経験でしかありませんが、成功したプロジェクトは、顧客側の分担比率は、30~50%です。


コスモ石油は、最初ベンダーからの導入見積を取ると、100億円を超えていました。計画段階で、プロジェクトが頓挫してしまいました。コスモ石油では、すべて自社で導入するよう方針を変更し、必要なところだけ、外注するようにしました。
すべて自社で行うにしても、スキルがありません。しかし、専任部署を作り、トレーニングを受講し、SAPのコンサルタントが補完しながら、プロジェクトを実行しました。分担比率で言えば、90%近くが内製です。当然、時間がかかります。
導入モジュールを3つのフェーズに分け、それを見越したスケジュールを引き、人材を育てながら、プロジェクトを遂行しました。そして、見事に、サービスインを迎える事ができました。私は、最初のフェーズと次のフェーズの中間までSAP側プロマネとして参加しました、
また、費用も約50%程度に抑える事ができました。それでも金額が大きいですが。石油業界の場合、物流関係は、当時のSAP R/3で対応できません。追加開発が大きくなります。また、人材をトレーニングに出す費用も馬鹿になりません。
コスモ石油の例は、極端な例ですが、プロジェクトを実行する時間が優先されるのか、費用が優先されるのか、を考える大きなヒントがあるのではないでしょうか。
ちなみに、このプロジェクト、The Project of the Yearということで、優秀プロジェクトとしてSAP Japan内で表彰されました。金一封をいただいたのですが、メンバーで均等割したため、手元に入ったのは、飲み代程度でした。
PMBOKの調達プロセスでも、内外製分析が1つのツールとなっています。
では、RFPの中で、どの様な仕掛けが必要か?
1つは、成果物のWBS (Work Breakdown Structure)を要求する事です。成果物をプロジェクトで管理可能な単位まで分解したものが、成果物WBSと呼ばれます。
さらに、その最下層を作るためのアクティビティを決める。そのアクティビティを実行する期間と工数を決める。これが、プロジェクト計画の基本です。
もう1つは、それぞれのアクティビティの役割分担を要求することです。これがあると、自社でできるアクティビティか、外注すべきかを判断する事ができます。
例えば、ERP導入で、パラメータ設定書なる文書が成果物の1つとしてあった場合、どのようにパラメータを設定してあるかなどということは、システムを見れば分かるではないか、と判断できれば、削除する事ができます。
この方法のメリットは、不必要な成果物を排除する事ができる、プロジェクトの役割分担を考える事により、費用を削減できる、と言うようなところにあります。
ちなみに、SAPは、パラメータを自動的に設定するツールを発表しました。その名も、SAP Best Practices。本当に使えるものであれば、大半のERPコンサルタントは失業です。
詳細は、こちら
さらに、自社のメンバーの役割を明確にする事によって、プロジェクトに対するコミットメントを表明する事にもなります。裏を返せば、プロジェクトが不幸にして頓挫した場合、或いは、大幅に予算を超過したり、期間を延長したりした場合には、ベンダーのせいにする事はできないと言うことです。
もっとも、最初から、丸投げしようと考えている場合は、適用できませんが。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*