ソリューション選定には、ライフサイクルコストも考慮を

日経コンピュータ6月13日号に、釣具最大手のダイワ精工が、9年間使用したSAP R/3をリプレースして、国産業務パッケージに切り替え、稼動したという記事が載っていました。
記事によると、1996年より、R/3 リリース3.0を使用して会計と人事を稼動させていた。99年前後にアップグレードを検討していたが、その後の業績不振で凍結していた。03年頃に検討を再開し、今回の意思決定となったとのことです。


その理由は、年間保守料1,000万円の負担と、アップグレード費用2億円(日経推定)の半額程度で、導入できると言うことです。
導入費用は書かれていないので分かりませんが、「R/3が持つ会計・人事機能のほぼ6割に対し、アドオン・プログラムを適用していた」そうですから、かなりのアドオン開発があったものと思われます。また、ロジスティックス機能を使用していないので、既存システムとのインターフェースもかなりあるのではないかと思われます。
今回のシステム置き換えに際しては、使用するパッケージの標準機能を使用して、アドオンをできるだけ作らない、使い勝手が悪くなる部分は、ユーザに泣いてもらい、別途対策を考慮すると言うことで、開始されたそうです。
この考え方が、最初の導入時にあれば….と思います。
このアップグレードの問題に対し、元SAPコンサルタントとしては、言いたいことがたくさんあるのですが、それは、また別の機会に書きたいと思います。
ソリューション選定時には、費用として、導入コストの大きさに目が行きがちです。稼動後の保守費用はある程度考慮されても、、アップグレード費用は、あまり考慮されないのが実情ではないでしょうか。
パッケージを使用する場合は、アップグレードは避けて通れません。なぜならパッケージベンダーの保守サポート期間が終了してしまうからです。パッケージベンダーにしてみれば、数が少なくなってきたシステムをサポートのためだけに稼動させておくことが非効率になるという面もあります。
従って、アップグレード費用が将来どの程度必要になるかを前もって見積もっておき、意思決定に反映させることが重要になります。尤も、アップグレード費用は、アドオン量にもよりますので、概算的な数値にならざるを得ませんが。
某保守サービス企業(ハイテク企業子会社)は、導入の際に、アップグレード費用を全く考慮せず決定しました。導入プロジェクトでも、使い勝手が悪いと言うことで、すべての画面をアドオンしました。
R/3の標準機能を使用していても、ユーザが見る画面は手作りです。項目のテキストも、その企業が使用していたものをそのまま使用していました。
アップグレードを行なう時に、アドオンの検証費用と、新規で作り直した場合の費用を比較しました。その結果、新規で作り直した方が安いという結果が出て、プロジェクトを開始しました。
システム部長曰く、「導入時に、あれ程大砂古さんから画面のアドオンをするなと言われた意味がやっと分かりました。最初のプロジェクトは、良い教訓になりました。」とのこと。
ちなみに、この企業の最初の導入プロジェクトは、私がSAPに入社して、最初に行なったプロジェクトでした。SAPって何?と言われるような初期のころのプロジェクトです。
某家電流通大手企業は、SAP R/3を選択する際に、既存のシステムすべてを順次置き換えていくと決定しました。基幹業務以外のものも、モジュールを開発するような感覚で追加していきました。
現在では、ほとんどのアプリケーションがR/3と同じ環境で稼動しています。この企業の狙いは、物理的に少ないハードの上で、必要なアプリケーションを稼動させ、運用のトータルコストを削減することでした。
いわば、メインフレーム的な使用方法です。システム部門としては、他の開発言語を覚える必要がなく、運用保守費用も削減できます。当然、アップグレード費用も織り込み済みで意思決定をしました。
非常に両極端な事例を紹介したわけですが、導入前に、どの様な運用形態を取るかを考慮することで、その成果が分かれることになります。

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