内部統制プロジェクトと勘定カバー率

前回統制運用テストでの母集団の特定方法が非常に厄介だと言うお話をしました。
これに絡んで、さらに厄介なことを検証しなければなりません。
それは…
勘定カバレッジが当初の計画通りになっているかどうかを検証することです。
プロジェクトを始める時に、連結ベースで重要勘定を認定し、その勘定の仕訳をともなう業務プロセスを文書化してきました。
今度の勘定カバレッジの検証は、単体ベースで、文書化の対象としたプロセスのカバレッジです。


業務プロセスの文書化時点で、プロセスによっては、重要性が低いと思われるプロセスを文書化から除外していると思います。
文書化の対象としたプロセスで、そのプロセスが関連する勘定科目の90-95%をカバーしているかどうかを検証するわけです。
1つのプロセスに関連する勘定科目が1つであれば難易度は多少低いのですが、複数のプロセスが1つの勘定科目に関連している場合は、それらのプロセスの合計がその勘定科目をどの程度カバーしているかを最終的に検証します。
PL勘定は単純に合計すれば良いのですが、BS勘定は、貸方、借方それぞれのフローを識別して合計しなければなりません。
重要勘定の認定時は、期末残高を元に選択しましたが、今度は、フローでも同様の結果となっているかを最終的に見なければなりません。ここで、カバレッジを満たしていないと、文書化するプロセスを追加しなければならなくなります。
これは、PMBOKでいうスコープ検証と同じです。
おそらく、このようなことを予め念頭において文書化作業を始めた企業は、ほとんどないのではないでしょうか。WBSに漏れが発生します。監査法人から助言があっても、うやむやにしたまま始めてしまったのが後になって効いてきます。
こんなこと、どのような本を見ても書いていない…
日本版SOX法に対応するためのスコープ決めを次のようにすれば、手戻りが少ないのではないでしょうか。
1.連結ベースで重要勘定を認定する
2.単独ベースで、その重要勘定のカバー率を満たす重要拠点、関係会社を認定する
3.重要拠点ごとに、その重要勘定を構成するプロセスをマッピングする
4.そのプロセスで文書化の対象とする範囲を決める(業務記述書作成方針を決定する)
5.その方針で、重要拠点ごとに、勘定科目のカバー率を満たしているかどうか検証する
6.文書化作業をスタートする
もっとも、重要勘定決定の前に、全社レベル統制を評価しておくことは言うまでもありません。
内部統制整備では、工数のかかる文書化に目が行きがちです。しかし、文書化が目的ではありません。統制の有効性を評価するための手段です。
しかし、その文書化は、勘定カバー率を満たしているということが前提です。前提条件を満たしていなければスコープ自体を見直さなければなりません。
適用年度以降は、業務プロセスに変更があるかどうかをチェックし、文書の修正をしなければなりません。しかし、その前に、重要勘定の見直し、カバー率の検証をしなければなりません。重要拠点の増減もあります。
さらに、その対象プロセスの統制運用テストを行い、統制の有効性評価をしなければなりません。
ビジネスは常に動いていますから、極端に言えば、毎年スコープが変わることになります。
こんなことを毎年手作業で行いますか?それともシステム化しますか?
システム化しても年1回、多くても2,3回しか使用しないシステムです。
重要勘定決定、重要拠点決定はエクセルでできても、カバー率の検証は、そうは行きません。基幹システムのデータを必要とします。
どちらが良いのでしょうか?

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