内部統制評価範囲の攻防戦

前回どのプロセスを文書化しなければならないかというお話をしました。私が支援しているプロジェクトでも、監査法人と第1回目のバトルが繰り広げられました。
現在は、まだ実施基準が確定していませんから、ペンディング項目となったのもたくさんあります。この攻防戦が、延々4時間繰り広げられました。途中休憩なしで…非常に疲れました。
公開草案の解釈の仕方により、企業側と、監査法人側に相当の開きがあります。できるだけ負担を軽くしたい企業側と、できるだけ詳細にさせたい監査方針側との攻防です。裏を返せば、公開草案の書き方自体が明確ではなく、ぼやかしている部分が大きいということです。
例えば評価範囲は、事業目的を考え、企業が決定しろと記載されています。しかし、他の箇所では、監査法人と協議しろと記載されています。企業が決定、監査法人からの合意を得られなければどうするのでしょうか。
監査法人の意向に従いなさい、というのが本音でしょうか。


さらに、実施基準のあいまいさを補完するために、Q&A的なものを2月か3月に出すことも考えているそうです。Q&Aでかなり具体的なものが出てくるのではないかとの憶測があります。
それなら、公開草案に具体的に書け!と思うのは私だけでしょうか。
明確に書かなければ企業がさらに迷うだけです。
本文はぼやかして書いて、後は、例示で判断しろというお役所仕事が見え見えです。
さて、その攻防戦、争点の第1は、全社レベル統制の範囲。
公開草案には、確かに、関連会社(持分法適用会社)も含まれています。
ただし、適切な理由があれば除外することができると記載されています。
企業側としては、持分法適用会社は除きたいところです。仮に範囲に含めて評価し、改善要求を出したとしても、支配権がありませんから、改善がなされる確約がありません。
持分法適用会社を含めろと口で言うのは容易いですが、その実効性を考えれば疑問です。
第2の争点は、決算・財務報告に係るプロセスの取り扱い方。
全社レベル統制に準じて評価することになっていますから、重要拠点も含めて質問表形式で調査を行い、評価するのが、企業としては、一番負担が軽くなります。
さすがに、監査法人もすべての拠点で文書化しろとは言いませんでしたが…
しかし、現実的には、重要拠点は、4文書作成、その他は質問表形式というように、両方を取り入れた形で評価するのが落としどころと思います。
最後の最も大きな争点は、売上、売掛金、棚卸資産に「至る」プロセスという部分の「至る」の解釈です。
金融庁の説明では、3勘定だけで良いとの話もあったと聞いています。
しかし金融部会に参加している監査法人は、「至る」をすべて網羅的に文書化しなければならないと解釈しているそうです。
さらに、重要プロセスと認定したプロセスの勘定カバー率を98%前後まで上げることを要求しようとしているそうです。
そうなると、前回書いたプロセスはすべて文書化しなければなりません。原価計算プロセス、人事労務管理プロセス、固定資産管理プロセスをどう取り扱うかによって、企業の負担は、大きく変わります。
仮に、すべて文書化した場合、米国SOX法準拠で行った場合と比較しても、文書化しなければならないプロセスは、ほんの少ししか減りません。しかし、勘定カバー率を上げるため、企業の負担は、ほとんど同じ程度になります。
これでは、米国SOX法の企業への負担増を抑えるということを念頭に置いた日本版SOX法はどうなってしまうのでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*