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決算財務報告資料は、一貫した方法でIFRSにコンバートされなければなりません。従って、プロジェクトの主要な文書化された成果物は、ハイレベル影響分析とIFRS決算書類です。

ハイレベル影響分析

現行の会計基準とIFRS基準との差異を明確にし、必要な開示条件を理解し、評価しなければなりません。この評価は、プロジェクトの最初にスコープを決定するときに実行されます。そして、その内容は、プロジェクトスコープ記述書の一部として文書化されます。

すべてのプロジェクトチームメンバーはもとより、すべてのステークホルダーは、他のメンバーへのコミュニケーションの方法はもとより、主要なミーティングの開催日、意思決定の内容、解消された課題、達成したマイルストーンなど、いろいろなプロジェクト情報を知る必要があります。

次は、プロジェクトで使用される典型的なコミュニケーション方法である会議のマネジメント、進捗報告、テンプレート、必要情報の保存の例です。

会議のマネジメント

  • 目的を明確化する。
  • 議題を事前に配布する。
  • 主要な報告内容、必要な対応策、課題やリスクの発見、意思決定等を記録する議事録を作成する。
  • 異なる目的の異なる会議は、異なるメンバーによって実施する。

ハイレベルなWBSを作成し、プロジェクト実行計画に対する理解が得られ、承認されると、次は、直近のフェーズの詳細計画を作成しなければなりません。

中でも詳細スケジュールは、定義された役割と責任に基づいて作成され、測定可能な進捗状況と、アクティビティ間の依存関係を明確にしたものでなければなりません。従って、詳細スケジュールは、プロジェクトのどの時点でも、その進捗状況を把握でき、ベースラインとの乖離状況を分析できるものでなければなりません。

また、詳細計画を利用することでは、課題がどこに潜んでいるかを明確にし、課題が解消されるまで追跡できるようにしなければなりません。

今回は、残りのフェーズ3,4,5のWBSを例示します。

フェーズ3: 分析

  • ステアリングコミティ
    • 定期的なミーティング
    • プロジェクト進捗レビュー
    • 主要な課題の解消
  • プロジェクトマネジメントチーム
    • コミュニケーション、広報部門との調整
    • コミュニケーション計画案の作成
    • 課題管理
  • 決算財務報告
    • IFRSと現行の会計基準との相違の把握
    • IFRSに必要な会計方針と開示条件の文書化
    • IFRS会計方針と経理規程、経理マニュアル等のドラフト作成
    • IFRS情報を作成するために必要なデータの作成ステップの定義
    • 子会社からのグループ報告パッケージの変更
  • コミュニケーション
    • IFRSコミュニケーション計画の決定
  • 情報システム
    • 情報システムの変更、開発ニーズの把握
    • IFRSの機能別要求事項の定義
    • 情報システムの開発および変更計画の定義

プロジェクトの実行計画を作成するには、プロジェクト全体を俯瞰し、プロジェクト目標を達成するために必要な論理的なステップを理解する必要があります。実行計画書作成の目的は、何を実施しなければならないか、そしてそれを誰が、いつ、どのようにして実行するかなどを明確化し文書化することです。

まず、スコープを決定するために、ハイレベルなWBSを作成する必要があります。ハイレベルWBSは、主要なマイルストーン、フェーズ、完了すべき作業などを表示し、理解し訳すしてくれます。ハイレベルWBSが決定すれば、次は、直近のフェーズの詳細なWBSを作成することです。

ハイレベルWBSは、次のように例示することができます。この例では、プロジェクトを5つのフェーズに分割しています。これは、あくまでも例であり、この通りでなければならないと言うことはありません。

フェーズ1: スコープ決定
フェーズ2: プロジェクト立ち上げ
フェーズ3: 分析
フェーズ4: 設計
フェーズ5: 実施

今回は、フェーズ1と2のWBSを例示します。

プロジェクトでは、IFRSの専門家、プロジェクトマネジメントコンサルタント、その他外部のアドバイザーなどが、企業内部のスタッフと一体となってチームを形成し、IFRSコンバージョンプロセスを実施します。プロジェクトチームを統合し、機能させることで、メンバー個人のスキルを向上させると共に、企業内部にIFRSに関する知識や経験を蓄積することができます。

次は、各機能を構成する人材の例ですが、これにとらわれることはありません。プロジェクトの規模により必要な人数は異なり、2人のプロジェクトメンバーしか必要ない場合もあります。

IFRSプロジェクトを開始するに当たり、プロジェクトメンバー全員のプロジェクト全期間を通した役割と責任を明確にし手置くことが重要です。

個人の役割と責任を明確にすることで、自分が所属するチーム以外のチームの責任を理解し、他チームと協調してプロジェクトを推進するにはどのようにすればよいかを理解することができます。

次は、典型的なプロジェクトチーム内の機能の役割と責任です。

プロジェクトチームを編成し、効果的に機能させるためには、次の要素を考慮しなければなりません。

  • プロジェクトチームの構成および編成
  • 役割と責任の明確化
  • チームマネジメント

これらのうち、今回は、プロジェクトチームの構成および編成について解説します。

IFRSプロジェクトチームは、企業の目標、ニーズ、資源の可用性、スケジュールなどを評価することで理解できた企業のユニークな状況を考慮して編成されなければなりません。それと同時に、税務、企業年金、デリバティブ、情報システムなど専門的サービスのニーズも考慮しなければなりません。さらに、内部監査、リスクマネジメント、人事、IR、法務、子会社などいろいろな部門からプロジェクトへの参画度合いも考慮しなければなりません。

企業の独自な要求事項を満たすために、どのようにプロジェクトマネジメントを実施するかを考えなければなりません。そのためには、IFRSコンバージョンに関するプロジェクトマネジメント事項を評価する際に必要な事項を考えなければなりません。すなわち、IFRSコンバージョンの目的、およびプロジェクトの目的によって、企業のニーズが異なりますので、どの程度の規模でプロジェクトマネジメントを実施するかを考えることです。

プロジェクトマネジメントを大規模に実施するか、または小規模に実施するを決定するには、以下の要素を考慮しなければなりません。

大規模なプロジェクトであれ、小規模であれ、すべてのプロジェクトを成功させるために必要なことがあります。これは、IFRSプロジェクトに特有なことではありません。

  • 方向性を与え、メンバーを動機付けするリーダーシップ
  • プロジェクトを組織し、母体組織との調整をしたり、コミュニケーションを取ったりするためのマネジメント
  • プロジェクトのアクティビティを実行し、完了させるために必要な、最適なスキルを持った最適な人材

IFRSコンバージョンに対して、プロジェクトマネジメントをどのように適用させるかを考えるに、プロジェクトマネジメント原則を頭に置いておく必要があります。その原則は次のようなものが6つあり、その詳細は、次回以降に解説します。

プロジェクトマネジメントアプローチは、全体スコープとIFRSの要求事項を詳細に検討し評価することができ、前述のビッグバンアプローチと比較して、よりリスクの少ない戦略であると言うことができます。IFRSコンバージョンプロジェクトには、以下のような特徴があります。

  • 大規模、あるいは複雑な事業体に向いているアプローチである。
  • 財務的な影響を十分に理解するために、IFRSの評価が必要である。
  • IFRSコンバージョンは、管理されたスケジュールで行われるが、プロジェクトが遅延した場合は、プロジェクトのコストがかかり、難しくなる傾向がある。

現在のところ、IFRSへのコンバージョンをプロジェクトとして実施している企業はほんの一握りしかありません。ほとんどの企業が様子見です。IFRSの詳細がまだ最終決定されていないためでしょうか。また、内部統制対応の時に慌てた反省でしょうか。

いつIFRSコンバージョンを開始するか、あるいは、IFRSコンバージョン期限まで待つか、というような意思決定には、注意深い考慮が必要です。解答は、その企業が置かれている環境により異なります。すべての関係するファクターを評価することで、正しい意思決定をすることができます

従って、重要なことは、IFRSコンバージョンプロセス開始をできる限り伸ばし一挙に導入を行う「ビッグバン」アプローチか、十分な余裕をもって開始し、コンバージョンプロセスをマネジメントする「プロジェクトマネジメント」アプローチのどちらを採用するかと言うことです。

ビッグバンアプローチ

ビッグバンアプローチは、現在の会計基準とIFRSの差異を考慮することなく、そのままIFRSを実施することであり、小規模、あるいは、シンプルな事業体に向いているアプローチです。しかし、ハイリスク戦略であると言うことができます。

IFRSへの変更は、多方面に影響を与えると同時に、ビジネスに対して多くの機会をもたらします。また、同時に、リスクをもたらすこともあります。現在の会計基準からIFRSへの変更プロジェクトで、次のような機会とリスクに企業が直面することが考えられます。

考えられるビジネスに対するリスク

  • IFRSへのコンバージョンにより、企業の決算数値や財務ポジションが変化し、決算財務報告プロセスに大きな変化を招く。
  • その変化を受け、ステークホルダーやマーケットの認識が影響を受ける。
  • 日本基準だけではなく、海外子会社等が所在する国の会計基準とIFRSとの差異の大きさにより、いろいろな反動が発生する。
  • IFRSへのコンバージョンは、既存の資源に対して新たな負担を強いることとなる。
  • IFRSの内容は常に変化しており、素早い対応が必要となる。
  • IAS39号「金融商品に関する国際会計基準」のよる金融商品の認識と測定が複雑であり、多くの企業に影響を与える。

IFRSの個々の会計処理、日本基準とIFRSの差異などに関する解説は、書籍等でよく目にします。しかし、IFRSへのコンバージョンをプロジェクトマネジメントの観点から解説したものは、ほとんどありません。そこで、IFRSへのコンバージョンをプロジェクトとしてとらえ、どのようにして成功させるかを考えていきたいと思います。

最初に、プロジェクトを始める前に、その影響度を測り、対応する計画を作成しなければなりません。そこで今回は、そのIFRSが与える影響について考えます。

IFRSは、企業のいろいろな側面に影響を与えます。それは、財務経理部門だけにとどまりません。それは企業内部だけでなく、外部に対しても及びます。主な影響には、次のようなものがあります。

財務経理部門

  • 日本基準とIFRSの差異を明確にする。
  • IFRS会計方針を分析、評価する。
  • 会計方針、経理規定をIFRSに準拠したものに修正する。
  • IFRSに関するトレーニングを実施する。
  • 連結プロセスやレポートパッケージを変更する。
  • 必要なマネジメント情報をレビューし、変更する。

広報、インベスターリレーション(IR)部門

  • 株主、投資家や、その他、証券アナリストなどの財務諸表を利用するステークホルダーとのコミュニケーション計画を作成する。
  • 従業員や経営層とのコミュニケーション計画を作成する。

4月23日に、金融庁から「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」という資料が公開されました。これは、IFRSに関しては、一部に「誤解」を招く情報が流布されているのではないかとの指摘があり、「誤解」と思われる事例を集めた「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」を公表し、IFRSに対する理解が得られるよう説明することといたしました。

公開資料は、こちらから入手できます。

最近の様相として、内部統制の時と同様に、ITベンダーがビジネスチャンスとして焚き付けている印象を持っています。連結グループ全体に適用できるグローバルERP、複数元帳を持つことができる総勘定元帳システム、マネジメントアプローチ採用によるBIなど、さまざまな売り込みが加熱しています。

「誤解」の内容は全般的事項として11項目、個別的事項6項目、参考が1項目からなっています。

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